あなただけに、今夜、命懸けの告白を
こんばんは。こうしてあなたと二人きりでお話しできる時間を、私はどれほど待ちわびていたことでしょう。外はしんしんと冷え込み、まるで世界から色が失われてしまったかのようですが、私の胸の内だけは、あなたへの熱い想いで、今にもはち切れそうになっております。どうか、驚かないでくださいね。これは、私からあなたへ贈る、最初で最後の、そして命を削るような必死のラブレターなのです。あなたは、ご自分がどれほど尊く、そして同時に、どれほど深い孤独の淵を歩いてこられたか、ご存知でしょうか。なぜ、あなたはそんなに悲しげな瞳で、夜空の星を眺めていらっしゃるのですか。
「愛されることは幸福ではない。愛することこそ幸福だ。」(ヘルマン・ヘッセ)
あなたはきっと、誰にも言えない秘密を抱えて、この長い人生を歩んでこられたのでしょう。誰かに理解されたいと願いながらも、本当に理解されてしまうことをどこかで恐れている。そんなあなたの心の震えが、私には手に取るように伝わってまいります。私は、あなたのその「寂しさ」を、愛しているのです。寂しさとは、決して恥ずべきものではありません。それは、あなたがこの世界に対して、誠実に向き合おうとしている証拠なのですから。あなたは、ご自分の心の傷を、隠そうとなさる。けれども、その傷口から漏れ出す光こそが、あなたをこれほどまでに美しく輝かせているのだということに、どうか気づいてください。
孤独の深淵で見つける、本当の自分
なぜ、人は一人でいるときに、あれほどまでに自分自身を責めてしまうのでしょうか。夜の静寂の中で、過去の過ちや、言えなかった言葉が、まるでお化けのように押し寄せてくることがありますね。あなたは、その暗闇の中で、必死に息を吸おうとしていらっしゃる。私は、あなたのその息遣いを聞いています。かつて、ある賢者が「孤独とは、自分を磨くための砥石である」と言いましたが、私はそうは思いません。孤独とは、磨くものではなく、抱きしめるものです。
「地獄とは、もはや愛し得ない苦しみのことである。」(フョードル・ドストエフスキー)
あなたは、ご自分のことを「欠陥だらけの人間だ」と思い込んでいらっしゃいませんか。もしそうなら、それは大きな間違いです。私たちは、最初から壊れている存在なのです。壊れているからこそ、そこに愛を注ぎ込み、互いに補い合うことができるのです。完全な人間など、この世には一人もおりません。いたとしても、それはきっと、石像のような、温かみのない存在でしょう。あなたのその、揺れ動く心、迷い、苦しみ、それらすべてが、私にとっては愛おしい宝石なのです。なぜ、あなたはそんなに自分を卑下なさるのですか。あなたは、世界にたった一人しかいない、唯一無二の、最高傑作なのですよ。
言葉の魔術師、ムタナッビーとの邂逅
ここで少し、不思議なお話をさせてください。あなたは「ムタナッビー」という男をご存知でしょうか。十世紀のアラブに生きた、不世出の詩人です。彼は自らを「預言者」と称するほどの傲慢さと、それに見合う圧倒的な才能を持っていました。彼の言葉は、まるで鋭い剣のように聴衆の心に突き刺さり、また、あるときは砂漠を潤す雨のように人々の魂を癒やしたのです。彼は「言葉は剣よりも強く、盾よりも堅い」と信じていました。
「幸福とは、自分を愛することから始まる。」(アリストテレス)
ムタナッビーは、王たちに仕えながらも、決して彼らに魂を売りませんでした。彼は、言葉という魔法を使って、自らの運命を切り開こうとしたのです。彼の詩の一節に「災難は、私に勇気を与えるためにやってくる」という言葉があります。あなたは今、災難の渦中にいらっしゃるのかもしれません。けれども、それはムタナッビーが言うように、あなたの真の勇気を引き出すための儀式に過ぎないのです。彼は孤独でした。あまりにも才能がありすぎたために、誰からも真に理解されることがなかった。その孤独の重みを知っているからこそ、彼の言葉には、千年の時を超えて、私たちの魂を震わせる力があるのです。
砂漠に咲く花のように
砂漠を旅する者は、蜃気楼に騙されることがあります。水があると思って走り寄ると、そこにはただの砂があるだけ。あなたは、人生という砂漠で、何度もそんな経験をされてきたのではありませんか。期待しては裏切られ、信じては傷つき、それでもなお、あなたは歩みを止めませんでした。なぜ、あなたはそこまでして、前を向こうとするのでしょうか。それは、あなたの魂の奥底に、決して枯れることのない「希望の泉」があるからです。
「人生は一箱のチョコレート。開けてみるまで中身は分からない。」(映画『フォレスト・ガンプ』より)
ムタナッビーは、旅の途中で追手に襲われ、命を落としました。しかし、彼が死に瀕したとき、逃げようとした彼を呼び止めたのは、他ならぬ彼自身の詩だったと言われています。「剣と槍と紙とペンは、私を知っている」という、自らの誇り高い言葉を突きつけられ、彼は逃げることをやめ、戦って果てました。彼は自らの言葉に命を捧げたのです。私は今、彼と同じような心地で、この文章を綴っています。私の命は、今、このペン先から、インクとなってあなたへと流れ込んでいます。私の言葉が、あなたの孤独な夜の、小さな灯火になりますように。
悲しみのリズム、喜びの調べ
人生には、特有のリズムがあります。三拍子のワルツのような軽快な時もあれば、重厚な葬送行進曲のような時もあります。あなたは今、どのリズムの中にいらっしゃいますか。もし、あまりにも重苦しいリズムに押しつぶされそうなら、どうか私の声を聞いてください。私の言葉は、あなたの心のリズムを調律するために、ここにあるのです。トントントン、とあなたの心の扉を叩いています。入ってもよろしいでしょうか。いえ、もう、私はあなたの心の中にお邪魔しているのかもしれません。
「愛すること、それはお互いを見つめ合うことではなく、一緒に同じ方向を見つめることである。」(サン=テグジュペリ)
あなたはときどき、なぜ自分だけがこんなに苦しい思いをしなければならないのか、と天を仰ぐことがありますね。その問いに、正解はありません。しかし、意味はあります。その苦しみこそが、あなたを他人の痛みに共鳴できる、慈しみ深い人間へと作り変えているのです。あなたは、傷ついた分だけ、優しくなれる。泣いた分だけ、他人の涙を拭うことができる。その優しさは、何物にも代えがたい宝物です。どうか、その宝物を、自分自身にも分け与えてあげてください。
あなたという存在の奇跡
考えてもみてください。広大な宇宙の中で、この地球という小さな星に生まれ、そして今、こうして私とあなたが、言葉を通じて繋がっている。これは、天文学的な確率の、奇跡だとは思いませんか。あなたは、偶然の産物ではありません。あなたは、愛されるために、この世に送り出されたのです。誰が何と言おうと、私がそう断言いたします。あなたの指先、あなたの睫毛、あなたの吐息、そのすべてが、完璧な調和を持って存在しています。
「美とは、真実の輝きである。」(プラトン)
ムタナッビーは、言葉によって世界を支配しようとしましたが、私は言葉によって、あなたを救いたいのです。救う、などという大それた言葉を使うのはおこがましいかもしれません。ただ、あなたの隣に座って、黙って手を握っていたい。あなたの涙が枯れるまで、ずっと寄り添っていたい。私のこの願いは、わがままでしょうか。いいえ、これは私の魂の叫びなのです。なぜ、私はこれほどまでに、あなたに惹かれるのでしょうか。それは、あなたの魂が、私と同じ「青い光」を放っているからです。
闇があるから、光が見える
光だけしかない世界では、光を見ることはできません。深い闇があるからこそ、私たちは一筋の光を尊いと感じるのです。あなたの抱える「悲しみ」という闇は、あなたの「喜び」という光を際立たせるための背景に過ぎません。今は、背景が少し広すぎて、光が見えにくいだけなのです。でも、安心してください。夜明けが来ない夜はありません。そして、その夜明けを、私はあなたと一緒に迎えたいのです。
「神は、耐えられない試練は与えない。」(聖書)
あなたは、ご自分の強さを信じていらっしゃいますか。あなたは、思っている以上に強い方です。これまで何度も倒れ、それでも立ち上がってきた、その不屈の魂を持っています。私は、あなたのその「立ち上がる姿」に、何度も勇気をもらってきました。ええ、私はずっと、あなたを見ていたのです。あなたが一人で泣いているときも、無理をして笑っているときも、私はあなたのそばにいました。この文章は、そのすべての瞬間のための、感謝状でもあるのです。
最後に、あなたへ贈る真実
そろそろ、お別れの時間ですね。でも、悲しまないでください。言葉は、一度発せられれば、消えることはありません。この文章は、あなたの心の中に深く根を下ろし、いつか大きな花を咲かせることでしょう。あなたが辛いとき、孤独に押しつぶされそうなとき、いつでもこの場所に戻ってきてください。私は、いつでもここで、あなたを待っています。あなたは一人ではありません。絶対に、一人にはさせません。
「自分を愛することは、一生続くロマンスの始まりである。」(オスカー・ワイルド)
最後に、もう一度だけ言わせてください。愛しています。あなたのすべてを、無条件に、永遠に。この命が尽きるその瞬間まで、私はあなたの幸せを祈り続けます。あなたは、生きているだけで、価値がある。そこにいてくれるだけで、私は救われるのです。なぜ、そんなに不思議そうな顔をなさるのですか。本当のことなのですよ。さあ、深呼吸をしてください。あなたの心に、私の愛が満ちていくのを感じてください。
あなたの寂しさは、冬の海のようです。
冷たくて、深くて、けれどどこまでも澄んでいる。
私は小舟になって、その海を漂い続けましょう。
あなたの涙が、いつか真珠に変わるその日まで。
ひさかたの
光のどけき
春の日に
あなたの笑顔
また見まほしき
あかあかと
燃ゆる想いを
筆に乗せ
あなたに捧ぐ
命のひとしずく
灰色の空を切り裂き、燕が飛ぶ。
あなたの憂鬱をその背に乗せて、
遠い南の国へと運んでゆく。
残されたのは、ただ真っ白なノートと、
あなたの指に残る、インクの匂いだけ。
空を飛ぶ鳥を見てごらんなさい。種もまかず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。けれども、あなたがたの天の父は、これらを養ってくださるのです。あなたがたは、鳥よりもずっと価値があるではありませんか。
求めなさい、そうすれば与えられます。探しなさい、そうすれば見つかります。叩きなさい、そうすれば開かれます。