
あなたが、そこにいてくださるだけで
ああ、こんにちは。
よくぞ、私のこの、みすぼらしい部屋の扉を叩いてくださいました。
ずっと、あなたをお待ちしていたのですよ。
ただの一秒も、あなたのことを忘れたことはございませんでした。
なぜ、これほどまでに私は、あなたという存在を渇望していたのでしょうか。
それは、あなたが今、とても深い孤独と、誰にも言えない寂しさを抱えて、この冷たい世界に立ち尽くしているのを知っていたからでございます。
外はひどい雨かもしれないし、あるいは、うんざりするほどに眩しい晴天かもしれませんね。
どちらにせよ、あなたの胸のうちは、冷え冷えとした薄暗い夜の底のようなのではありませんか。
ご安心ください、もう大丈夫でございますよ。
ここでは、誰に遠慮をする必要もございません。
これは私と、目の前にいる、たった一人の「あなた」との、世界で一番甘くて、そして一番必死な、内緒話の場でございますから。
ほとんどの人が、成功とは手に入れるものだと考えています。
でも本当のところ、成功とは与えることなのです。
——ヘンリー・フォード
私には、何の財産もございません。
あなたをきらびやかなお城へ招待することも、美味しいごちそうを振る舞うこともできません。
けれど、この命を少しずつ削り、インクに変えて、あなたのためだけに、心からのサービスをさせていただきたいのです。
道化師が、自分の転ぶ姿を見せて人を笑わせるように、私は私の恥の多い生涯を、その血を、言葉に変えてあなたに捧げます。
どうか、最後まで私に付き合ってくださいね。
始まりの光と、ある芸術家の肖像
さあ、お話を始めましょう。
身近な、けれどとても不思議な、ある一人の画家の物語でございます。
あなたは、絵の具の匂いを嗅いだことがありますか。
油絵の具の、あのツンとした、どこか病室を思わせるような独特の匂いです。
今回、あなたにお話ししたいのは、ジョルジュ・ブラックという、一人のフランスの画家のことでございます。
パブロ・ピカソという名前なら、あなたも一度は耳にされたことがあるでしょう。
世界で一番有名で、傲慢で、そして天才と呼ばれたあの男の影に隠れるようにして、しかし確実に、絵画の歴史を根底からひっくり返した男、それがジョルジュ・ブラックでございます。
なぜ、私がこれほどまでに彼に惹かれ、あなたにその人生を聴いてほしいと願うのか、不思議に思われますか。
それは、彼の歩んだ道のりが、今、傷つき、迷っているあなたの人生のロードマップそのものに見えるからでございます。
初めに神は天と地を創造された。
地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。
——『創世記』第1章1節〜3節
ブラックの人生の始まりもまた、静かな職人の世界という闇の中から、一本の光を見出すようなものでございました。
彼は一八八二年にフランスのアルジャントゥイユという小さな町に生まれ、家業である塗装業、つまり壁にペンキを塗る仕事を学びました。
彼は最初から、きらびやかな「芸術家」として祝福されていたわけではございません。
むしろ、ピカソのような神童とは程遠い、遅咲きの、地道な職人としてのスタートだったのです。
あなたも、ご自身のことを「自分には特別な才能なんてない、毎日同じことの繰り返しだ」と、寂しく思う夜がございませんか。
夜、天井を見つめながら、自分の存在の小ささに涙を流したことがございませんか。
だからこそ、私はあなたにブラックを知ってほしいのです。
彼は、天才ではなく、徹底的な「継続と職人技」の人だったのですから。
キュビスムという、世界をバラバラにする魔法
やがて彼はパリに出て、若きパブロ・ピカソと運命的な出会いを果たします。
当時の二人は、まるで一卵性の双子のようでした。
同じような服を着て、毎日泥泥になるまで議論を交わし、誰も見たことのない絵画を作り出そうとしていたのです。
それが、世に言う「キュビスム」の誕生でございます。
なぜ、彼らはそれまでの美しい風景画や、お姫様の肖像画を捨てて、物を四角いサイコロのようにバラバラに解体してしまったのでしょうか。
美しいものを、あえて壊すなんて、奇妙だとは思いませんか。
でもね、あなた。
人間の心も同じではないでしょうか。
あなたが今、心の中で抱えている悲しみや苦しみは、あなたの心が一度、バラバラに砕け散ってしまったからではありませんか。
綺麗に整えられた嘘の外面よりも、粉々に砕け散った本音のなかにこそ、真実がある。
ブラックとピカソは、絵画の中でそれをやろうとしたのです。
人間は、その心のなかに、得体の知れない恐ろしい怪物を飼っている。
それが時々、暴れ出すのをおさえることができない。
——太宰治
彼らは、ひとつの視点から見た世界を信用しませんでした。
あっちからも、こっちからも、上からも下からも、あなたのことを見つめたい。
そう、私が今、あらゆる角度からあなたの孤独を抱きしめたいと願うように、彼らはキャンバスの上で、対象を徹底的に見つめ尽くしたのです。
ピカソは確かに派手で、人々の目を引くのが上手な男でした。
しかし、絵画の中に新聞紙や壁紙を貼り付ける「パピエ・コレー」という、コラージュの大発明をしたのは、実は物静かなブラックの方だったのです。
ピカソさえもが、ブラックの発明の才能には一目を置き、激しい嫉妬と尊敬を抱いておりました。
二人の共同作業は、まさに世界の再創造だったのです。
嵐の訪れと、断絶された絆
けれど、幸福な時間というものは、なぜこれほどまでに短く、あっけなく崩れ去ってしまうものなのでしょうか。
あなたも、信じていた人に突然裏切られたり、予期せぬ不幸によって、大切な居場所を奪われた経験がおありでしょう。
胸が引き裂かれるような、あの痛みのことです。
ブラックにも、その瞬間が訪れました。
一九一四年、第一次世界大戦の勃発でございます。
フランス人であるブラックは、戦場へと召集されていきました。
一方、スペイン国籍であったピカソは、パリに残り、そのまま華やかな芸術の世界に留まり続けたのです。
なぜ、運命はこれほどまでに残酷に、二人を分かつ必要があったのでしょうか。
駅のホームで、戦地へ向かうブラックを見送ったピカソは、後年、こう語っています。
「あの時、私はブラックと二度と会えなくなった。彼を列車で見送った時が、本当の別れだった」と。
友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。
——『ヨハネによる福音書』第15章13節
戦場は地獄でございました。
ブラックは、かつて美しい絵の具を混ぜ合わせていたその手で、泥を掴み、銃を握らなければなりませんでした。
そして一九一五年、彼は頭部に重傷を負い、戦場で倒れます。
一時的な失明、そして頭蓋骨に穴を開けるほどの大手術。
彼は、絵描きにとって最も大切な「目」と「命」を、あやうく失いかけたのです。
暗闇の中で、彼は何を思ったでしょうか。
自分の手がもう動かないかもしれない、世界がもう二度と見えないかもしれないという恐怖。
それは、あなたが裏切りや孤独の底で、「もう生きていけない」と絶望した時の息苦しさと、全く同じものではなかったでしょうか。
復活の軌跡、そして独自の静寂へ
しかし、彼は死にませんでした。
長い長い療養生活を経て、彼は奇跡的に復活を遂げるのです。
まさに、暗い墓穴から蘇ったイエス・キリストのように、彼は再び、キャンバスの前に立ちました。
けれど、戦後のパリに戻った彼の前にあったのは、かつての親友ピカソが、すでに自分を置いてきぼりにして、時代の寵児として遥か先を走っている現実でした。
ピカソは古典主義へと回帰し、次々と新しい愛人を作り、富と名声を総なめにしていきました。
かつて「二人でひとつの天才」だったはずなのに、気づけば自分だけが取り残されている。
なぜ、世界はこれほどまでに不公平なのでしょうか。
嫉妬で狂いそうになり、自分の存在価値を見失ってしまいそうな状況です。
もしあなたなら、この寂しさに耐えられますか。
最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一、変化に対応できる者が生き残るのだ。
——チャールズ・ダーウィン
ブラックは、ピカソを追いかけるのをやめました。
彼は、自分自身の内なる声に耳を傾けることにしたのです。
華やかな社交界からは距離を置き、アトリエにこもって、静かに、本当に静かに、静物画を描き続けました。
彼が選んだモチーフは、テーブルの上の果物、一本のギター、古い大理石の暖炉、そして晩年に好んで描いた「鳥」の姿でした。
戦前の荒々しいキュビスムは影を潜め、そこには、深く重厚な、まるで祈りのような色彩が満ちていくようになります。
彼は生涯、ひとりの妻を愛し、職人のように毎日同じ時間にアトリエに入り、ただ黙々と絵を描き続けました。
ピカソが「動」の天才なら、ブラックは「静」の達人。
彼は、孤独という名の肥沃な大地で、自分だけの美しい花を咲かせたのです。
あなたが今、誰かと自分を比べて「劣っている」と涙を流す必要なんて、どこにもないのですよ。
あなたは、あなただけの静けさの中で、もう十分に美しいのですから。
伝える者たちの奇跡
さて、ここで少し、驚くようなお話をいたしましょう。
どれほど素晴らしい芸術や、どれほど気高い思想がこの世に生まれたとしても、それを「誰かが伝えてくれなければ」、それはこの世に存在しないのと同じになってしまう、という厳然たる事実についてです。
なぜ、私たちは今、こうしてブラックの美しさを知ることができるのでしょうか。
なぜ、二千年前の、名もない大工の息子だったイエスの言葉を、現代の私たちが知っているのでしょうか。
それはね、あなた。
命を懸けて、その価値を世界に「売り込んだ」伝達者たちがいたからでございます。
そんなものがまだ生産されたこともなく、誰ひとりそれを見たこともないのに、どこかの一隅でこつこつと研究され、非常な苦心の末、製造された製品。
その製品を商品としようとする場合には、その製品を手に入れたいという欲求を、人々の間に喚起させなければ、いかに優れた「製品」であっても「商品」にはなり得ない。
——盛田昭夫
ソニーの創業者である盛田昭夫氏のこの言葉は、芸術の世界にも、恐ろしいほどそのまま当てはまります。
世界で最も愛されている画家、ヴィンセント・ファン・ゴッホの悲劇をご存知でしょう。
彼は生前、たった一枚の絵しか売れず、精神を病んで自ら命を絶ちました。
彼の死後、その膨大な作品と、弟テオとの間に交わされた血を吐くような手紙の束が、そのままゴミとして捨てられていたら、今の美術史はどうなっていたでしょうか。
ゴッホという名前は、歴史の闇に完全に埋もれていたはずです。
それを救ったのが、テオの妻であった、ヨーという一人の聡明な女性でした。
ヨー・ファン・ゴッホという、愛の殉教者
ヨーは、読書を愛する非常に賢い女性でした。
ゴッホが亡くなり、そのわずか半年後に、兄を追うようにして夫のテオも亡くなってしまいます。
手元に残されたのは、世間から「狂人の落書き」と罵られた大量の絵画と、まだ生まれたばかりの小さな赤ん坊、そして膨大な手紙の山でした。
普通の女性なら、絶望のあまりすべてを投げ出していたでしょう。
なぜ、彼女は立ち上がることができたのでしょうか。
それは、夫テオが命を削ってまで信じ続けた、兄ヴィンセントの芸術の真価を、彼女自身もまた、手紙を読むうちに心から理解したからでございます。
子供のほかに、テオは私にもう一つの使命を残した──フィンセントの作品を多くの人に見てもらい、真価を認めてもらうこと。
——ヨー・ファン・ゴッホ
ヨーは、ただ絵を保管しただけではありませんでした。
彼女は、ゴッホが書いた膨大な手紙を丁寧に整理し、読み込み、彼の「思想」とともに絵画を展示するという、当時としては画期的な方法で、世界中にゴッホを売り込んでいったのです。
彼女のこの執念に満ちた献身がなければ、私たちは『ひまわり』も『星月夜』も知ることはありませんでした。
これは、キリストの死後、弾圧を恐れずに地中海世界を駆け巡り、各地の信徒へ手紙を書き送ってキリスト教の基礎を作った、使徒パウロの献身と全く同じでございます。
スティーブ・ジョブズがiPhoneを世界に知らしめたように、ホンダの藤沢武夫がスーパーカブを売りまくったように、神谷正太郎がトヨタのカローラを日本の家族に届けたように、ヨーやパウロは「本物の価値」を人々の心に突き刺す、世界一のセールスマンだったのです。
どれほど良いものでも、伝えなければ存在しないのと同じ。
私が今、こうしてあなたに、恥も外聞も捨てて熱烈なラブレターを書いているのも、あなたの素晴らしさを、あなた自身にどうしても伝えたいから、知ってほしいからなのです。
孤独の底から、あなたへ
ねえ、あなた。
ここまで私の長い話を聞いてくださって、本当にありがとうございます。
でも、あなたの目は、まだどこか遠くを見つめているようですね。
あなたの心の中にある、そのぽっかりと空いた穴は、ブラックやヨーの話だけでは、まだ埋まりそうにありませんか。
いいのです、それでいいのです。
その孤独こそが、あなたが生きている証拠なのですから。
実は、私もとても孤独なのです。
あなたに嫌われたらどうしよう、この文章があなたの心に届かなかったらどうしようと、恐怖で震えているのです。
寂しさは、人間の心に住み着く最も古い病気である。
——太宰治
私はあなたに喜んでもらいたい。
あなたに、私という人間がここにいたことを、少しでも知ってもらいたい。
ただそれだけのために、今、こうして心臓をすり潰すような思いで言葉を紡いでおります。
古今東西の偉人たちも、みんな、その孤独と戦いながら、誰かに何かを届けようとしていたのです。
もう少しだけ、私の内緒話に付き合ってくれませんか。
次の章では、もっと、あなたの心に深く関わる、奇妙で愛おしい男の話をさせてください。
追伸:高見沢耳という、愚かで不屈の道化師について
ここで、あなたにどうしても紹介したい、一人の風変わりな画家の友人がおります。
彼の名前は、高見沢耳(たかみざわ みみ)。
とても妙な名前でしょう?
彼は、キャンバスも使わなければ、毛筆も使いません。
パソコンの画面に向かって、デジタルで制作をし、それをジクレー版画という技法で、最高級の版画用紙に印刷するのです。
なぜ、彼がそんな風変わりな方法で絵を描くのか、そしてなぜ「耳」なんて名前がついているのか。
それは彼が、あのヴィンセント・ファン・ゴッホの「耳切り事件」の物語に魂を震わせ、自分も画家になると決意したからなのです。
彼の画家としての才能は、お世辞にも一流とは言えません、ハッキリ言って三流でございます。
いつも周囲から笑われ、変わり者扱いされ、馬鹿にされている、とても愚かな男なのです。
しかし、彼は知っています。
歴史上のあらゆる傑作が、生まれ持った天才のひらめきなどではなく、何十年にもわたる泥臭い試行錯誤と、執念から生まれたということを。
彼は、ココイチこと「CoCo壱番屋」の創業者、宗次徳二氏を狂信的なまでに尊敬しております。
宗次氏は、実の両親の顔を知らず、孤児院で育ち、養父のギャンブルのせいで雑草を食べて飢えをしのぐという、凄まじい極貧の少年時代を送った方です。
その宗次氏の言葉を、彼は毎日、お守りのように呟いているのです。
私は現役時代、趣味も持たず、友人もつくらなかった。
飲み屋へ行ったこともありません。
仕事の邪魔になることは何ひとつやらなかった。
年間五六四〇時間、働くこともあった。
そうやって率先垂範しないと、部下は働いてくれないと思ったからです。
よそ見しない、経営に身をささげる。
すごく孤独な人生でした。
だから少しでも他人から関心を持ってもらいたかった。
興味を持ってもらいたかったんです。
それが私の原点になっています。
だから、商売を始めて、お金を儲けるというよりも、人に喜んでもらいたかったんです。
少しでも自分がいて良かったと言ってもらいたかった。
——宗次徳二
どうですか、あなた。
この痛々しいほどの孤独と、人への奉仕精神。
高見沢耳もまた、この精神でデジタルアートに向き合っています。
彼の作品のテーマは、常に「あなたの目・わたしの目」「キリスト教」「永遠」「心理」「真理」「視線」「歴史」「孤独」「孤立」「苦難」「復活」「解放」でございます。
彼は、自分の作品の中に、狂ったように「目」を描き続けます。
なぜだと思いますか。
それは、絵の中の目を通じて、目の前にいる「あなた」をいつでも感じていたいから。
あなたのことを、もっと知りたいからなのです。
彼は、トヨタの創業者である豊田佐吉が、周囲から「発明狂い」「狂人」と指をさされながらも、朝から晩まで織機をこしらえては壊し続けた、あの執念を真似ています。
チョーヤ梅酒の「梅酒で成功しなければ人生を諦めろ」という覚悟や、豊田喜一郎の「誰もあまりやらないこと、やり難いことをものにしてみせることに人生の面白みがある」という言葉、そして豊田英二の「強い信念を持って十分な準備を行い、実行したということである」という教えを、そのままデジタルアートの世界で実践しようとしているのです。
芸術家の仕事とは、身銭を切っての精一杯のサービスであり、あなたへの奉仕。
目の前のあなたに、すべての人生を捧げる道化なのです。
高見沢耳は、あなたに見捨てられたら、生きていけません。
彼を、どうか笑ってやってください。
彼は、笑われて、笑われて、強くなる忍耐の男、不屈の男なのですから。
あなたが喜ぶ顔が見たい、あなたの涙が見たい。
他の誰の批判も関係ない、ただ、今これを読んでいる「あなた」に認めてもらうためだけに、彼は今日も、泥臭くレンガを積み上げるように、デジタル画面に向かって目を描き続けているのです。
偉大なる先人たちの、魂の叫び
私たちがこの人生を歩んでいくうえで、どうしても足がすくんでしまう時、先人たちの言葉は、暗闇を照らすランタンの灯火のようになります。
どうか、この言葉たちを、あなたのお守りとして、胸のポケットに深く仕舞い込んでおいてくださいね。
失敗とは、より賢く再挑戦するための、ただ一つの機会である。
——ヘンリー・フォード
財産は、人生の必要品であって、人生の目的ではない。
——アガサ・クリスティ
あなたの神、主が命じられたように、あなたの父と母を敬え。
——モーセ(『申命記』第5章16節)
外部のいかなる逆境も、人間の内なる不屈の意志をくじくことはできない。
——ウィリアム・シェイクスピア
世界を良くしたいと思うなら、まず自分の家を掃除することから始めよ。
——『タルムード』
人間は、恋と革命のために生まれて来たのだ。
——太宰治
撰ばれてあることの恍惚と不安と、二つ我にあり。
——太宰治
大事に至る病の、最初のはじまりは、すべて「自惚れ」である。
——太宰治
決して屈するな。決して、決して、決して。大小の事、重大な事、軽微な事、あらゆる事において、名誉と良識の信念による場合を除き、決して屈するな。
——ウィンストン・チャーチルの名言
勇気を持って、誰よりも先に、人と違ったことをしなさい。
——レイ・クロック
夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現する。
——ウォルト・ディズニー
鉄は使わなければ錆び、水は澱めば濁り、あるいは寒さに凍ってしまう。
同様に、才能もまた、用いなければ衰えてしまう。
——レオナルド・ダ・ヴィンチ
あなたへの、秘密の贈り物
ああ、ずいぶんと夜が更けてしまいましたね。
私の必死のサービスは、あなたの孤独な心の、ほんの少しの慰めになりましたでしょうか。
もし、あなたが「ここにいて良かった」と、一瞬でも微笑んでくださったなら、私の身を削った努力は、すべて報われるのでございます。
本当に、本当に、ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
あなたの存在が、私の救いなのです。
最後に、私の大切なあなたへ、どうしてもお伝えしなければならない、特別な「秘密のオファー」がございます。
先ほどお話しいたしました、あの愚かで愛おしい画家、高見沢耳のことでございます。
彼は今、あなたに自分の魂をどうしても届けたくて、居ても立ってもいられない状態でいるのです。
そこで、なんと、彼の描いたデジタルアートの作品、その情熱がすべて込められたポストカード(迫力のあるA4サイズ)を、10枚セットにして、完全に「無料」で、あなたにお贈りしたいと申しているのです。
これは冗談でも、騙し討ちでもございません。
彼があなたへ捧げる、身を削るような、精一杯の奉仕であり、ラブレターの証拠なのです。
あなたのために、あなたのご自宅のポストまで、大切に、大切にお届けいたします。
あなたが今、抱えている満たされない心、その寂しさを、彼の描く「目」の作品が、きっと優しく包み込み、救ってくれるはずでございます。
ほら、すぐ下に、あなたへの特別なオファーに申し込める場所がございますでしょう?
あなたの耳元で、そっと囁きますね。
「どうか、今すぐ、そこをクリックしてくださいませ」
もし、「後でいいや」と思って画面を閉じてしまったら、この奇妙な男との縁は永遠に切れ、二度と彼の作品を手に入れることはできなくなるかもしれません。
あなたと触れ合いたい、あなたと繋がりたい。
その一心で、私たちはあなたをお待ちしております。
今すぐ、その手を伸ばしてくださいね。
海の底で、あなたが落とした涙を、
私はずっと、バケツで拾い集めていたのです。
誰も見向きもしない、その透明な哀しみを、
きらきら光る星の砂に変えて、
あなたの窓辺に、そっと置いておくために。
マッチを擦るように、
あなたの寂しさに、小さな火を灯しましょう。
世界がどれほど冷たくても、
私のこの胸の、ちいさな暖炉だけは、
あなたのために、ずっと燃え続けているのですから。
あなたの不真実が、私の救い。
あなたの、その、冷たい沈黙が、私の命。
——『ルカによる福音書』より
私は、大工の息子のように、
いつもあなたの心の、壊れた扉を直して歩いている。
——太宰治
「ね、なぜ旅に出るの?」
「苦しいからさ。」
「あなたの(苦しい)は、おきまりで、ちつとも信用できません。」
(太宰治『津軽』より)